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2011年12月03日

札の辻・21

 師走に入ると鍋物に惹かれるようになり、その主役のひとつにコンニャクがある。
 英語辞典ではkonjakで、インドシナから日本にかけての東南アジア地域が原産のサトイモ科多年草は欧米で食べられていない。
 日本へは6世紀頃に中国や朝鮮半島から伝来し鎌倉期の禅林料理に初めて登場した。江戸期の元禄年間(1688-1704)にはコンニャク田楽が創作され庶民の食べ物として人気を呼び、全国的にコンニャク栽培が行われるようになり、山形、群馬、栃木、茨城そして広島が主産県となっている。
 平安前期に唐から帰朝した慈覚大師は山形に立石寺通称山寺を創建するが、現在山門近くでコンニャク玉を串に差した田楽が観光客に喜ばれる。
 精進料理の素材になるコンニャクは96%が水分でわずかに炭水化物と繊維がありノンカロリーの美容食に適するという。山口県内の寺院でも精進料理に見られる。
 おでんの主役は一般的にコンニャク、焼豆腐、がんもどき、はんぺん、竹輪、すじ、しいたけ、大根、卵などをゆっくり煮込むが大衆的で人気がある。
 作家水上勉はエッセイ「蒟蒻と学問」の中に「その味は古今の学者も業界人も解明し得ない、微妙で不可思議な力を持っている」とコンニャク好きを語っている。
 おでん鍋の湯けむりがなつかしい。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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