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2012年05月19日

札の辻・21

 黒潮の潮流が沖合から寄せてきて、澄んだ海面に山なみの青葉が影を映す頃を、房総や紀伊の半島では古くから青葉潮と呼んでいるという。
 青葉潮なぞという美しい呼称は風流気からつけられたのではなく、黒潮の寄せてくる頃になればカツオなど初夏の魚群が活気よく訪れることから生まれた漁師ことばであるらしい。
 海ばかりではない。青葉の季節ともなれば木もれ陽を受ける渓流にヤマメ、瀬ハヤなどを追う釣人の姿も見られる。
 山口市で新聞、放送のアド・エージェントをしている渓流釣りの友人O氏から、釣りの片手間に採ったとタラの芽、コシアブラ、ウドなど中国山地の山菜が届く。
 色も香りも採れたての山菜は早速天ぷらにして季節感を堪能した。
 これらの山菜は湯びたし、あえもの、バターいためなど山菜料理もあるのだが、みずみずしさに溢れた野生風味を失わないうちにと、いずれも天ぷらにする。
 阿武川、佐波川、椹野川の中国山地に至る上流・支流は渓谷美に恵まれた自然がある。
 山菜とりの楽しみは芽吹いた若葉の樹間を見るたのしみ、そして自然の味覚に浸るよろこびがある。しかし最近はタラの芽を採るために無造作にタラの木を折ったり切ったりする人も見かけるようになった。
 ところでO氏に渓流での釣果を聞きそこなった。釣より山菜か。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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