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2012年10月13日

札の辻・21

=春寒の遠い木立や
 路端に倒れた石敢当
 も、中佐の眼には映
 らなかった。=
 芥川龍之介の小説「将軍」の一節である。
 石敢当―という石碑は山口市内大神宮の稲荷社参道筋にも存置されている。もともとこの碑は道場門前の安部橋近くにあったが市街地の道路拡張工事で大神宮へ移設されたものなのだ。
 =石敢当=敢当は向うところに敵がないの意、一説には中国五代の時代に晋の力士名ともいわれ、T字路の突き当りや四辻に立てた魔よけの石塔で、沖縄から九州にかけて分布し本州の一部にもありイシガントウの呼称もある=と国語大辞典に記載されている。
 沖縄の那覇市に行くと町筋や四つ角に設置されて目につきやすい。
 石敢当の存在から山口と琉球との間には古い時代の交流史が残った。
 現在、那覇市の沖縄県立博物館に国宝に指定された銅鐘が存在する。
 この銅鐘は中世室町期に中国、朝鮮それに琉球とも交易を行っていた大内氏は義興時代の1495(弘治8)年に義興が那覇の円覚寺へ寄贈したもので、銅鐘製作者周防三田尻の鋳造師大和相秀の刻名もある。
 当時対明、対琉球との交流を実蹟した大内義興から約400年後の1872(明治5)年に琉球国は琉球藩となった。
 石敢当は山口と沖縄交流の証となる。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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