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2013年03月30日

札の辻・21

早間田にあるヤキトリ屋の別室を借りて、友人たちと久しぶりにイノシシ鍋を楽しむ。
 シカは紅葉鍋、イノシシは牡丹鍋と古くから別称を持つ。因に馬肉は桜鍋と呼ぶ。
 われわれは山口周辺の山で仕止められたイノシシ肉に、大根、ネギ、ニンジンの地野菜を鍋にしてとり囲む。
 イノシシは石器時代から狩猟対象獣とされてきたといわれ、原始的な特徴をもつ野獣で愚鈍なイメージを想像するむきもあるが大違いで、鋭敏な嗅覚と聴覚を持ち、動作はす早く刃物のごとき犬歯を使って対象相手に致命的な打撃も与える。
 本州の野生動物の中でイノシシが一向に減少しないのは、多産であると共に雑食性で草木の根や実、キノコ類、コケ、カエルからミミズまで食べ人里に出没し稲田や菜園まで荒らすからという。
 友人で夏は川漁、冬は山猟に凝っている湯田の中野和人氏に聞くと、
―西中国山地の鳳翩山麓から時には島根県境まで出猟することもある。しかし昨今は山林の荒廃したところも多く、イノシシの生息テレトリーの変化が激しい。シイ、ナラ、クヌギ、など自然林の木の実も少なくなり猟人もまた年令的に減少してきたが自分は依然として自然派だ―と話す。
 1872(明治5)年に肉食解禁宣言が発令される以前からイノシシだけは薬食いとして江戸でも珍重されてきた。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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