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2014年08月30日

札の辻・21

 =清新そのものともいいたい 白菜の塩漬もうれしいが、大根の味噌漬もわるくない。辛子菜の香味、茄子の色彩、胡瓜の快活、糸菜の優美。しかし私はどちらかといえば粕漬の濃厚よりも浅漬の淡白を好いている。山のもの海のもの、どんな御馳走があっても最後の点睛はおいしい漬物の味でなければならない。=種田山頭火(漬物の味) 新刊嵐山光三郎著文人御馳走帖(新潮社版)の一節である。
 文人はいかにして御馳走を平らげたか。森鴎外、高村光太郎、林芙美子、宮沢賢治、芥川龍之介なども紹介されているので、牛鍋、水の味、湯どうふ、西瓜、わが工夫せるオジヤ、鳥料理など多彩である。
 山頭火は漬物で焼酎を傾けながらつぶやく。
 厳密に論ずれば貧乏はあるひとつの罪悪であるかも知れない。しかし、現在の社会制度に於ては少くとも現在の私の境遇にあって、それは恥ずべきことでもなければ誇るべきことでもない。不幸でもなければ幸福でもない。否むしろ幸福であるといえよう。
 行乞僧山頭火には食べものの句が多い。彼は酒を飲み、水を飲んで去るとうそぶいて五十七年の生涯を閉じる。

 夕立が洗っていった
 茄子をもぐ
 ひょいと芋が落ちて
 ゐたので芋粥にする
       山頭火

 行乞無限である。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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