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2016年03月26日

札の辻・21

実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)

 菜の花は菜種油をとるアブラナの花である。
 霜柱が出来ては崩れ、やがて陽炎が立つ頃になれば地面にはりつき葉を重ねていたアブラナも頭をもたげはじめる。
 その茎の先に、車座の黄色い十字花の蕾が一斉に咲き出してくる。
 電灯がつく以前の行燈の頃には、アブラナの種子に約40%含まれる菜種油が使われていたと聞く。
 菜の花をこよなく愛した俳人と言えば、江戸時代の画家でもあった与謝蕪村である。菜の花を詠んだ句は何種にも及ぶ。
 菜の花や
  月は東に 日は西に
 おなじみの代表句は蕪村が安永三(一七七四)年現在の神戸市灘区にある六甲山地の摩耶山を訪れた時に詠んだ句だ。
 蕪村はその前年に摩耶山を訪れた際にも菜の花の句を詠んでいる。
 菜の花や 摩耶を下れば 日の暮るる
 昔、摩耶山がある神戸市灘区では、菜種油を生産するために菜の花が栽培されていたと言う。
 秋に種を蒔いて夏の間に収穫できるので冬の畑が利用でき、また湿った土でもよくできるので水田の裏作にも適し、寒暖地の区別なく栽培できる貴重な植物である。
 山口でも阿知須など吉南地区では菜の花が早く咲きはじめ、山口盆地のあちこちや阿東地域ではのどかな陽光を見るようになると、山の段々畑や田園にも見られる。
 菜の花と桜、春の役者たちが徐々に揃う。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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