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店長情報

2016年05月21日

札の辻・21

実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)

 青葉風 海より遠き
 初鰹     青鹿

 若い頃、漁師かと言われるほどの釣りを楽しんだことなど、今は懐かしく、すっかり沖釣りから遠くなってしまった男の駄句である。
 近頃、冷凍物もあるので一年中食べることができるようになったカツオであるが、やはりこの時期の初鰹はのがせないものがある。
 カツオは温帯から熱帯海域に生息し、日本近海では、春になると南の海から黒潮にのって北上し始め、秋になると東北沖に到達し、そこで親潮とぶつかる為また南下するという季節的な回遊をしてゆく。
 したがって、カツオの時期は2度で、この季の初鰹と秋上旬の戻り鰹である。身がしまりあっさりとした味わいのこの時季のものと比べ、エサをたっぷりと食べた戻り鰹は脂肪が乗って濃厚な味わいで、最近はこちらも人気という。
 カツオ料理でよく知られているのが「たたき料理」であろう。
 「鰹たたき」の始まりには諸説あるが、食中毒防止の為に藩主からカツオの刺身を禁じられ、表面のみを焼き、焼き魚として食す地方もあったと言われている。炙ることで香ばしさがつき味が濃厚になる効果もあるらしい。
 厚めの切り身には一本釣りの豪快な風景が浮かぶ。高知のカツオに山口の酒がまた良い。(鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2016年05月14日

札の辻・21

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 ゴールデンウイークの食材を求めて出掛けた。
 道中の緑の美しさに思わず目を奪われる。桜が落ち、若葉の新緑から青葉の深緑へと、車中まで香りが漂ってくる感がある。
 「みどり」は元来、新芽や若芽の意味で、そこから色名に転じたといわれる。
 若草、若竹、萌黄、松葉、常盤=「みどり」には様々な色がある。微妙な濃淡を表現する色々で、春から初夏の山々は私達を楽しませてくれる。
 とくに新緑が美しいのは、冬の間に葉を落としていた欅やポプラ、イチョウなどの落葉樹である。
 いっせいに新葉が伸びるからこそ、新緑のみずみずしさがきわ立つ。
 おもしろいことに、常緑樹=常盤木、の落葉はこの時期である。落葉樹ほど目立たないので気付かないこともあるが、冬の間も緑が落ちない松や杉などは、若葉が一人前になる頃、古い葉を落とす。「常盤木落ち葉(ときわぎおちば)」初夏の季語にもなっている。
 緑葉の命の勢いを感じながら町並みを進むと、並列した色合い鮮やかな鯉のぼりに出会う。
 近頃、全国各地の空で多数の鯉のぼりが泳いでいる光景を目にする。背景には、やはり青い空、青い川、萌えるみどりである。
 季節の変化を肌で感じながら一年で一番色美しい季節を堪能する日々がつづいている。5月は私の生まれ月。(鱧)  

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2016年04月30日

札の辻・21

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 太く大きな筍を抱え、満面の笑みをうかべた子供たちの新聞記事に目が留まる。
 「たけのこ出迎え式」=記事によると、下関の吉母小学校には毎年、北九州の合馬小学校から合馬特産の筍が贈られる。お返しに夏には海水浴や地引網に招待するなど、海に近い小学校と山に囲まれた小学校の交流は何と五十七年も続けられているという。
 筍の歴史は古く、古事記にも筍にまつわる話が登場しているが、現在一般的に食べられているのは孟宗竹(もうそうちく)という種類で、日本に入ってきたのは江戸時代である。
 「汁、辛子和え、香の物、刺し身、漬物、焼く蒸しても色々、皮ともに焼きてつかい候」
 江戸時代初期に刊行された我が国初の料理専門書“料理物語”「青物之部」に掲載されている筍調理方法だという。
 醤油が一般的に無かった時代のため煮物が含まれていないが、これだけの調理法が並ぶとは、いかに筍が日本人に愛されているかであろう。
 山口県は現在全国4位の竹林面積を持っている。県内には、豊富な資源を全国へとブランド化の動きもあるとか。
 タケノコは成長が早く、約10日間(一旬)で竹に成長することから「筍」の漢字が使用されるようになったという。
 時折、車で通る象頭山の竹林は、椎の花が目立つようになった。(鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2016年04月23日

札の辻・21

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 八十八夜の別れ霜、八十八夜の泣き霜と、別れに泣きと雑節の八十八夜にまつわる伝承はいろいろとある。
 立春、立冬など二十四節気は中国でつくられた暦だが、さらに農事上の季節の変化をつかむために日本でつくられた暦が雑節であり、彼岸、入梅、二百十日などもそうである。
 立春から数えて八十八日目の頃が最後の霜となり、天候も安定してくることから、種蒔きや苗の植え付けなど、農作業の目安とされてきたが、たまにその時期に遅霜が発生することもあり、まさに泣き霜となる。
 現在では品種改良もかなり進み、以前ほど農作業の時期に気を使わなくなったそうだが、八十八夜は農家だけでなく我々にとってもやはり季節点である。
 歌がある=夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る=文部省唱歌「茶摘み」の一節。明治四十五年に小学校の唱歌として歌われて以来つづく古い歌で、「日本の歌百選」にも選ばれている。実際には茶摘みの時季は生産地の温度差によって異なるが、八十八夜とお茶が結びついたのは、やはり、この唱歌の影響が大きいだろう。
 立春から数えて今年の八十八夜は5月1日、4日後の5月5日は立夏となっている。
 わが家から見る姫山も、花は無くなりすべてが青葉となった。生ビールがうまくなる。(鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2016年04月16日

札の辻・21

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 椹野川の河面を低くまた高く飛翔するツバメが軽快な姿を見せるようになり、山口盆地は晩春から初夏に向かう暦の足音も高くなってきた。
 ツバメは日本列島に飛来してくる夏鳥の中でも一番早く姿を見せる。
 列島で最も多く見られる夏鳥の中でもツバメ以外には、コシアカツバメ、イワツバメ、そして奄美大島以南にいるリュウキュウツバメ等種類も多く、ツバメは夏鳥の代表格と言える。
 俳句短歌では季語の鳥でもあったが、近代になってからは別のイメージが加わってきた。
 一年中で最もすがすがしい季節に天空をあざやかに斬って飛び続ける姿は、そのシャープな容姿とスピード感がもたらす近代感覚だと思う。
 ツバメの主食は空中を飛ぶ小昆虫で、害虫を食べることから農村を中心に益鳥として大切に扱われてきた。足が弱いのであまり地面に降りることは少ないが、巣作りの素材集めに泥砂や藁を求めて田畑に降りることも。
 昔から、鳥のさえずりを人間の言葉に置き換えて楽しむ。
 よく知られているものに、「法、法華経=ホウ、ホケキョ」やフクロウの「五郎助奉公=ゴロスケホウコウ」もある。さて、ツバメはどうだろうと調べたら「土食うて虫食うて渋い」だった。あの飛翔姿からは想像もつかないことばである。
 夏季の空中には小昆虫が予想外に多い。(鱧)  

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2016年04月09日

札の辻・21

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 3月末日に仁保の道の駅へ、孫を連れて出向いた。庭桜は八分咲きであった。
 仁保地区を見守るような里山には、山桜がほころび行楽気分になる。
 店頭に並ぶ仁保産のイキの良い野菜から白菜、キャベツ、太い葱、ホウレン草それに椎茸まで仁保農家づくりのいろいろと、いつ来ても求めるつき立ての餅まで手にする。
 地野菜をみやげに道の駅を離れて警察学校の桜を眺めながら旧市内へと向かう。
 宮野に入り、山口県立大前を過ぎて長いトンネルを抜けると菜香亭脇で山口市街地らしくなってくる。
 桜並木の美しい後河原に向かう。
 後河原は町歩きの桜見物客が多く、歩行者に遠慮して車もゆっくり。花見客に顔馴じみがいるかと思ったが、知人にはひとりとして会わず、下車して川音でも聞きたかったが、残念ながらそれも出来なかった。同乗の小学生だけは元気である。
 花無き山の山影に
 起き伏す友よ
 いざ集へ。
 旧制山口高商寮歌の一節が思わず口に出る。
 桜の後河原は、往年の学都としての山口の町に思い出を重ねてくれた。
 懐旧の後河原をあとに山口県立美術館前を通る。
 いつかいつかと心待ちにする桜の時期は、あっけないほどあっという間に終わりを迎える。いつもより桜の色が深く感じたのは孫のおかげか。(鱧)
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2016年04月02日

札の辻・21

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 最近、山口県内は勿論であるが、日本酒の鑑定会や集いがあって酒呑み連中はもちろんのこと、焼酎党にも喜ばれている。
 やはり酒好きのひとりとしては、酒にまつわる話題に90歳近くになってもペンを走らせる次第。
 新聞やテレビによれば、最近地酒の日本酒の人気が高まりつつある。
 料理と共に酒を楽しみ味わうことは、私にとって人生の最大のよろこびである。
 報道によると、韓国のソウルでは、いろいろな日本酒と焼酎それに泡盛まで吟味してもらおうと、韓国の輸入会社と日本大使館が日本の蔵元で約百社を紹介した。
 日本からは富山、兵庫、佐賀、山口など30の県から関係者が訪れて、来場者にそれぞれの酒を振る舞ったらしい。
 山口県内からは「かほり」の山縣本店、「五橋」の酒井酒造、「獺祭」の旭酒造が参加している。
 日本大使館によれば、試飲用に計300の銘柄が提供され、海外で開く日本酒関係のイベントとしては、過去最大級の企画であった。
 私の若い頃には、まぼろしの酒と異名を持つ新潟の銘酒「越乃寒梅」に魅せられたときもある。
 しかし今、愛飲するのは山口の地酒である。
 あの頃から時代も変わり、日本酒をとりまく状況も大きく変化した。
 しかし日本酒用の盃と2合徳利はいまだ変化を見せず、晩酌の友としてつづいている。(鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2016年03月26日

札の辻・21

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 菜の花は菜種油をとるアブラナの花である。
 霜柱が出来ては崩れ、やがて陽炎が立つ頃になれば地面にはりつき葉を重ねていたアブラナも頭をもたげはじめる。
 その茎の先に、車座の黄色い十字花の蕾が一斉に咲き出してくる。
 電灯がつく以前の行燈の頃には、アブラナの種子に約40%含まれる菜種油が使われていたと聞く。
 菜の花をこよなく愛した俳人と言えば、江戸時代の画家でもあった与謝蕪村である。菜の花を詠んだ句は何種にも及ぶ。
 菜の花や
  月は東に 日は西に
 おなじみの代表句は蕪村が安永三(一七七四)年現在の神戸市灘区にある六甲山地の摩耶山を訪れた時に詠んだ句だ。
 蕪村はその前年に摩耶山を訪れた際にも菜の花の句を詠んでいる。
 菜の花や 摩耶を下れば 日の暮るる
 昔、摩耶山がある神戸市灘区では、菜種油を生産するために菜の花が栽培されていたと言う。
 秋に種を蒔いて夏の間に収穫できるので冬の畑が利用でき、また湿った土でもよくできるので水田の裏作にも適し、寒暖地の区別なく栽培できる貴重な植物である。
 山口でも阿知須など吉南地区では菜の花が早く咲きはじめ、山口盆地のあちこちや阿東地域ではのどかな陽光を見るようになると、山の段々畑や田園にも見られる。
 菜の花と桜、春の役者たちが徐々に揃う。(鱧)  

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2016年03月19日

札の辻・21

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 植物の発芽、開花、紅葉、落葉など生物季節を白地図に記入すると、それぞれの季節の動きがわかる。特に花の場合は、花前線と呼ぶ。
 春の花前線は南から北へ、山麓から山頂へと移動する。
 古い中国の言葉に、花は里より咲き紅葉は山から里へと向かうと言う。
 各地域の開花期のリズムは植物の種類によって異なる。たとえばウメとサクラ(ソメイヨシノ)の開花平均日は、南九州ではウメがサクラより2カ月も早いが、東北では双方の開花日が縮まり、メーデーの頃に両者は津軽海峡を一斉にわたるらしい。サクラは、種別によっても開花期はずれる。
 気象庁の生物季節観測によると、ソメイヨシノは平均気温が10度の暖かさで、花前線として北上するらしい。
 ソメイヨシノといっても、サクラの名所である吉野地域とは無関係らしい。大部分はシロヤマザクラ。サクラは自然の状態では落葉樹林の中にポツンポツンとある程度で、吉野のサクラは修験者の努力に伴って苗木が献木され、花の名所になってきたという。
 さて、山口市の場合はどうであろう。
 後河原のサクラ岸をはじめとして、山口市内を流れる大小の各河川土手には、サクラが見頃となってくる。
 鳳翩の山麓、姫山の中腹と、4月の中旬までサクラの開花リズムに魅せられてゆく。(鱧)
  

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2016年03月12日

札の辻・21

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 東北では雪空の時季がカレイのシュンと呼ばれているのだが、この魚はそれぞれの季節風と共に北から南へと日本列島を渡ってゆく。
 山口県内でも周防大島や笠戸島沿岸と内海一帯、それに各島々の磯までサクラ前線と共にカレイ前線も伝わってゆく。
 カレイとの春の訪れを強く感じるのは、私が幼い頃からカレイの味覚に親しんできたからか。
 カレイは世界各地の寒帯から温帯にかけて分布し、日本産には約40種のカレイ科魚類がいる。
 この魚は褐色で海底の模様に合わせて体色を変化させることもある。
 底びき網や定置網などで多く漁獲され激減したこともあるという。
 北洋漁業の増加で漁獲量は大幅に増えたが、近年は2百海里水域により漁獲が減少し、大衆魚であったカレイも時には高級魚とされることもある。
 山口県の周防洋とも海域の近い大分県の城下カレイは、カレイ仲間のうちでも逸品だとされている。
 これは大分県の日出町に産するマコガレイのことで、海水と清水のまじった餌の豊富な海域に育つので、独得な味覚を持つようになったとか。
 江戸時代には参勤交代のとき徳川家へ献上して喜ばれたとの伝説も残っている。
 これから先、3月から4月にかけては花見カレイの呼称もある。
 瀬戸内産のマコガレイが楽しみである。(鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻